2023/09/29 活動報告
中国工場視察
コロナ禍以来4年ぶりに中国に出張しました。
到着早々感じた中国の変化は電気自動車の普及です。
世界有数のCO2排出国である中国は、CO2排出量のピークアウト、さらにはカーボンニュートラルの実現を目指して、植林政策による国土の緑化や電気自動車などの新エネルギー車の普及を積極的に進めています。
実際に空港から市内に向かう道でも、緑のナンバーをつけた電気自動車を多く目にしました。
今回の出張の目的は中国にある子会社と子会社工場、提携工場の視察です。
製品の縫製工場、生地の織工場、ニットの工場、染工場を訪ねました。
また、今回は入社3年目の生産管理のスタッフが同行し、研修的な意味合いも兼ねておりました。普段は、電話やメールで発注や様々な指示を行っておりますが、現地の工場のスタッフと直接会って話をしたり、実際に現場や機械を見ることで、多くのことを学ぶということも今回の大きな目的の1つでした。
現地の子会社縫製工場です。
裁断の前に生地の検反を行います。
生地を裁断していきます。
縫製の現場です。
裁断後のパーツを前段階で芯貼り、テープ貼りをしてラインに流していきます。
たくさん工員さんがいらっしゃいますが、選りすぐりのメンバーが当社の縫製を行っています。
固定の担当者を置くことで、当社と当社の顧客の特徴を理解した上で、細かい指示や変更にも都度対応してもらっています。
提携している織工場を訪ねました。
原料の生糸が入荷すると目的に合った糸種を選定したり、次の工程で区別するために仮にサインカラーを付けます。
また、生糸を柔らかくして撚糸しやすいように夏は75℃のお湯に油剤や界面活性剤を入れて浸します。経糸と緯糸では浸す薬剤は異なります。
お湯を使うので部屋はとても蒸し暑いです。
下漬けした糸を乾燥させます。
乾燥後、ボビンに巻き取ります。
原料の質が良くないと、糸切れして巻き取り機が止まっているところが多くなります。
必要な規格の太さに合わせるため、何本かの糸を合わせます。
糸に撚りをかけます。
この後、蒸気の缶に入れ、蒸すことにより撚りが戻るのを防ぎます。
織布、糸精練、染色など用途に応じてボビン、コーン、綛に巻き上げて仕立てます。
整経は経糸に使用する糸の準備工程で、織準備の最終段階です。
規格により必要な本数の多数の糸を同じ張力で、平行に、一定の速度で太いビーム巻き取ります。
整経が終ったら織工程です。
上の写真は3巾での製織です。3反を同時に織り上げ、織上った後につなぎ目でカットして3反に分けます。
生機で検反、補修の後、練り工場へ出荷します。
練り工場へ行く生機は、機折れにならないように全て巻きで出荷されます。
練り上がりをさらに検反、補修します。
まず検反機で確認した後、サテンのネップなど小さな不良個所は手で補修します。1反につき2人で2時間もかかる、とても丁寧な仕事です。
保管して出荷します。
お客様の要望に応じますが、練り上がりの保管方法は生地の特性により巻きなのか畳みなのか異なります。基本的にはデシン系は巻にするとモワレになることがあるため、ヤール畳で保管しますが、サテン系は巻きで保管します。
提携している染工場を訪ねました。
以前使われていた液流の染色機はほとんど動いておらず、節水省エネの染色機が主流となっているそうです。
・ビーム染色機
穴の開いた円筒に生地を巻きつけて固定します。染色液を循環させながら染色する高温高圧の染色方法。
生地を固定しているのでシワが入りにくい加工です。
・ジッガー染色機
染色液の中で生地の巻き取りを繰り返して染色する節水、省エネタイプの染色機。
プリントについても、従来のスクリーンやロータリーを用いた捺染ではなく、中国でもインクジェットプリントが主流になっています。
世界の動きに合わせて、中国の繊維業界もサスティナブルを意識した加工方法に移行しているようです。
縫製工場、生地の織工場、染工場と視察を終えて、今回の中国出張は当社の生産管理のスタッフが実際の現場を見て、工場の様子を確認したり、担当者と直接話をしたことにより、工場との連携を強化でき、トレーサビリティを実現する上でも有意義なものとなりました。
また、工場が環境負荷の少ない加工方法に移行していることを今回確認することができました。当社もサスティナブルな社会実現に向けた取り組みについて、引き続き考えていきたいと思います。
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