2024/09/11 活動報告
新商品開発に向けて
新商品の開発に向け、中国の工場視察に行きました。
今回はサテン、デシン、ツイル、羽二重などの定番商品の工場ではなく、シルクレーヨンのベルベットの加工場や非定番のシルクオーガンジー、シルクウールWツイル、シルクシャンタンなどを扱う工場、シルク綿、シルク麻、シルクウールなどの先染めの交織を扱う工場、絹紡の工場などを訪れました。
本投稿ではシルクレーヨンのベルベットの加工場の視察の様子を報告いたします。
ベルベットは生地の性質上、加工の工程で出る排水などによる水質汚染を管理するため、特に設備投資を必要とします。そのため撤退する工場が多く、訪れた工場は湖州近郊に残る数少ない工場の一つです。
カットした繊維を工員が吸い込み、健康を害するリスクもあるため、工員の健康に十分配慮した体制を整えています。
ベルベットはドレスやスーツなどフォーマルなファッションアイテムの素材として使われることが多いですが、生地自体がとても繊細なため、加工の工程は普通の生地よりも手間と時間がかかります。
織物工場から入荷したベルベット生地は精練前はまだ硬く、専用の機械でパイルを指定の長さにカットします。
上の回転式カッターが非常に高額で、少しでも刃がかけると使用できなくなるため、1.6㎜以下の短パイルは調整が難しいと言われています。
次は、染色前の練り工程です。
ベルベットのパイルが生地とくっつかないように、枠になる滑車についているツメに耳をひっかけながら巻きあげていきます。この工程では人が1反ずつ手で巻き上げます。
これをスター染色機で吊り練りします。
染色はウィンス染色機で行います。
この染色機はロールの回転により生地を染色液に送り込んで染色するものです。
一度に12反を染色することができます。
ベルベットはスクリーン捺染機でオパールをかけたり、インクジェットでプリントをすることもできます。
オパール加工
染色後、プリント加工後にベルベットのパイルの毛並みを整えます。
次にベルベットのパイルを立てる工程に入ります。この工程により立体感のあるベルベットに仕上がります。
検反後、巻き上げを行います。
この工程では、練りの時と同様にパイルがつぶれないように巻き芯の外側についたツメに生地の耳を引っかけながら巻いていきます。
熟練の工員さんが両側で二人一組になりぴったり息を合わせながら巻いていきます。
最後に、反物同士がパイルをつぶし合わないように1反ずつ箱に詰めて出荷します。
以上がベルベット加工場の視察の様子です。
今回の工場視察で感じたことは、中国の織工場や染めの工場は以前のように輸出中心の商売ではなく、中国内販とくに『電商』と呼ばれるインターネット販売を中心とした商売に大部分シフトしているということです。
定番以外のものを以前のようにバイオーダーで都度生産してるとスピード感に欠け、注文に繋がらないため、定番以外のものも在庫を積んだり、専属の染工場を構え顧客の要望にクイックに対応をしています。
当社としては少しでも良いものを、新しいものを、安くそして早く皆様にご提供できるように、これからもこうした中国の工場の変化について把握し、中国現地と常に情報を共有しながら商品の開発を行って参ります。
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